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「知的財産伝承舎」は、株式会社IPフォークロアと朝日特許商標事務所によって提供される「知的財産の伝承と創造」をコンセプトとしたWebサイトです。

知的財産権法の精神

 知的財産権法の「三方よし」
=自分よし。相手よし。社会よし= (TM)

当研究所では「知的財産権法を通じて道徳を学ぶ」というコンセプトのもと知的財産教育の手法を研究しています.
知的財産権法の精神を理解する為に当所が掲げたキーワードが「三方よし=自分よし。相手よし。社会よし=」です。

「三方よし」とは?

近江商人の経営理念「売手よし、買手よし、世間よし」をあらわす平易な言葉として、近江の商家で生まれ育った経済学者小倉榮一郎氏(1992年ご逝去)が1988〜1991年に出版された著書の中で訴え続けた言葉です。

=引用=
・商人の職分をむずかしく表現しないで、商人らしく「三方よし」とか、「売手よし、買手よし、世間よし」という。(小倉榮一郎著、「三方よし、中村治兵衛家の家訓」、『近江商人の金言名句』中央経済社,1990年より)   
・生産者も消費者もすべて含めて世間全体が好都合でなければ商業は成り立たないという自覚をあらわしたもの(小倉榮一郎著「三方よし、中村治兵衛家の家訓」『近江商人の金言名句』中央経済社,、1990年より)   
・商売だから儲からなくては意味がないというのは真実この世の企業家の精神だろうか。売手よし、買手よし、即ち顧客に喜んでもらうというのは取引であるから当然のことである。近江商人はその上に「世間よし」が加わって「三方よし」という主義になった。(小倉榮一郎著『近江商人の経営管理』中央経済社,1991年より)


                                  ……「近江商人の三方よし」について学ぶ

この「三方よし」という言葉を耳にしたとき、思わず「知的財産権法の精神と同じだ!」と叫んでしましました。
                       

「知的財産権法の精神」とは?

知的財産権法の代表選手である特許法は、「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与する」ことを目的とします。  
つまり「発明者にとって良く、利用者にとって良く、産業の発達にとっても良い」というのが特許法の精神です。
ですから「自分よし。相手よし。社会よし。」という意味において、近江商人の「三方よし」に通ずるのです。

=特許法の三方よし=    発明者よし、利用者よし、産業の発達によし(特許法第1条)    
=著作権法の三方よし=   著作者よし、利用者よし、文化の発展によし(著作権法第1条)    
=商標法の三方よし=    商標使用者よし、需要者よし、産業の発達によし(商標法第1条 )

当研究所では「三方よし」という語をキーワードに、「自分・相手・社会」の3つの視点から知的財産権法を捉えていこうと考えております。「自分よし。相手よし。社会よし。」と指さし確認しながら条文を解釈していきましょうね。

「社会よし」とは何か?

「自分よし」をさす指の先は明確です(自身に向けて指さすのですから…)。   
しかし、「相手よし」と指そうとした時、いろいろなお客様の顔が浮かんできます。   
大企業の従業者、中小企業の経営者、個人発明家…、お客様の顔を一人ひとり思い浮かべながら、それぞれの人にとって最も好ましい「社会よし」とは何だろう、と考えてみると、知的財産権法の各条項に対する思いが、自身の中で揺らいでくるのです。   
このような揺らぐ思いの中でバランスを保とうとすることで、「自身の軸となっている価値観」が明確になってくるのではないでしょうか。 
これが、「三方よし」というキーワードを用いることで、「知的財産権法を通じて道徳を学ぶことができるのではないか」と私が考える理由です。


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