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「知的財産伝承舎」は、株式会社IPフォークロアと朝日特許商標事務所によって提供される「知的財産の伝承と創造」をコンセプトとしたWebサイトです。

中小企業の経営者様へ

 御社の知的財産は経営資源として有効に活用されていますか?

自社の知的財産が有効に活用されているか、有効活用するための準備が整っているか、ということを診断するために、年に一度は知的財産の棚卸しをしましょう。名付けて「知財棚卸®」です。
このページでは、中小企業の知財棚卸®を支援するツールとして弊社開発の「知財棚卸シート(TM)」の紹介と、このシートを用いた知財棚卸®の手法を説明します。
中小企業の経営者様にご活用頂ければ幸いです。

1.弊社開発の「知財棚卸シート(TM)」を紹介します。

先ずは「知財棚卸シート(TM)」をダウロードして下さい。 ダウンロードする。

2.「知財棚卸シート(TM)」の使用法を説明します。

(1)先ず始めに、御社名、商標(通称・ロゴマークなど)、企業理念などを記入しましょう。
   弊社を例に記入しますと、下記のようになります。



(2)つぎに、名称欄に御社の事業(商品・役務など)のラインナップを記入します。
   弊社の場合、下記のようになります。



(3)それぞれの事業に使用されている商標(通称、ロゴマークなど)を全て記入します。
   弊社の場合、下記のようになります。



(4)次に、御社の各事業(商品・役務)の内容や特徴を記入しましょう。
   弊社の場合、下記のようになります。

 これで準備完了です。
 次は、各事業について知財棚卸®を行います。


3.知財棚卸®の手法を説明します。

(1)それぞれの事業について、独占の必要性を検討します。つまり同業他社に真似されたくないか否かの検討です。事業が御社オリジナルなもの、開発費用を回収する必要があるものは、同業他社に真似されないようにすることが大切ですので、括弧内に○を記入しましょう。真似されてもよいもの(実施できるだけで良いもの)には△、企業秘密とすべきノウハウには×をつけましょう。
 弊社の場合、②の「自分史作成支援サイト」は、開発費用を回収する必要がありますので(広告料収入でサイトを運用しようと思っております)○としました。④の「自分史作成支援を通じた見守り事業」は、質の低いサービスが提供されることがないよう、所定の条件の満たす事業者にライセンスする予定ですので○としました。①の「知的財産教育研究」や③の「挿絵美術館」は、同じようなサービスを提供するWEBサイトが増え、それぞれのサイトが切磋琢磨することで文化が発展していくものと考えますので△としました。⑤のコンサルティングは弊社の収入源ですので×です。



(2)次に、商標登録の必要性を検討します。
 他者が御社の商標に似たマークを使用すれば、御社の商品(役務)との混同が生じ、品質誤認を生じさせる可能性がありますので、 弊社では、明らかに登録性のないものを除き、できるだけ商標登録出願を行うようにしています。
これで知財棚卸®の完了です。いよいよ知的財産戦略の策定です。


4.それぞれの知的財産について出願戦略を練りましょう。

(1)出願戦略を練るための「知財棚卸シート(TM)~出願戦略~」をダウンロードしましょう。ダウンロードする。



(2)名称(製品番号等)、商標(通称、ロゴマーク等)、事業内容を予め記載しておきます。



(3)「知財棚卸シート」の括弧内に○印が付されたものは出願しておくのが好ましいです。登録の可能性を、特許情報プラットフォーム「J-Plat Pat」などのデータベースを使用して調査しましょう。
御社の技術(デザイン)と同一の発明が既に出願されている場合は、出願しても特許(実用新案権・意匠権)を取得することができませんので、出願は断念すべきでしょう(登録されている場合は実施も控えましょう)。
御社の商標(通称・ロゴマーク)と同一・類似の商標が、同一・類似の商品(役務)について既に登録されている場合も、出願は断念されるべきです(使用するのも控えましょう)。その辺の判断は、御社の弁理士さんにご相談下さい。


(4)「知財棚卸シート」の括弧内に△印が付されたものは、他者の権利を侵害していないことを確認しましょう。特許については、特許情報プラットフォーム「J-Plat Pat」の「特許・実用新案」の「テキスト検索」のページにおいて調査可能です。「特許公報」と「公開実用新案公報」のボックスを選択し、御社の技術に関するキーワードを入れてみましょう。「意匠」についても、同様に「テキスト検索」のページで調査することができます。
商標については、「商標」の「称呼検索」のページにおいて調査可能です。区分(類似群)が解らない場合は、商品全類又は役務全類を選択して下さい。
精度の高い調査をご希望の場合は、特許調査を専門に行っている会社に相談されることをお勧めします。


(5)「知財棚卸シート」の括弧内に×印が付されたものについては、「秘密管理性(秘密情報として管理されていること)」をご確認下さい。秘密管理性が認められるには、「社外秘」や「極秘」などの表示があり、アクセス制限がなされているところに保管されている情報であることが必要です。


(6)上記の手順で弊社の出願戦略を策定したところ、下記のようになりました。「要」の表示は「出願の必要あり」、「不要」は「出願は不要」、「秘密」の表示は「秘密管理されている」という意味です。この作業は、新製品を公表する前には、必ず行うようにしましょう(公表されてしまってからでは、特許権や意匠権を取得することができなくなってしまいますので…)。特許法第30条*で救済される場合もありますが…。



(7)いよいよ出願です。出願手続きは御社の弁理士にお願いしましょう。出願を依頼する際には、先行技術文献、図面、データなど、特許を受けようとする技術(デザイン)の特徴を説明するのに必要な資料を準備しておきましょう。商標出願の場合は、登録を受けようとする商標と、その商標を使用する商品(又は役務)が解るような資料を準備しましょう。

(8)出願後には、「要・不要・秘密」の欄に、出願番号を記入し、登録後には登録番号を記入しましょう。このようにすれば、御社の知的財産を一目で把握できるようになるでしょう。

5.今後の技術開発戦略を練りましょう。

「課題」の欄に、現在の問題点を記入しましょう。解決のヒントとなるような情報を、参考資料の欄に書き込んでおけばよいでしょう。
弊社の場合(課題山積なのですが)、真っ先に解決しなければならない課題は、下記の通りです。
できるだけ早く解決できるよう努力しますので、温かい目で見守って頂ければ幸いです。

6.知財棚卸シート(TM)は「企業秘密」なの?

顧客への知財コンサルティングのツールとして開発した「知財棚卸シート(TM)」ですが、このサイトで公開したのは、より多くの中小企業の経営者に利用していただきたいと思ったからです。日本の産業の底力をアップさせるために、大企業と対等に交渉できるような「元気な中小企業」が増えて欲しいのです。そのためには、御社が有している知的財産の価値を再評価し、効果的な保護方法を検討して頂くことが肝要と思い、公開に至った次第です。
WEB上で公開した時点で、この知財棚卸シート(TM)は新規性を失うこととなりましたので、もちろん既に特許出願済みです。そのため、コンサルタントさんなどが、業として**このシートを使用されると、警告書をお送りさせて頂くこととなるかもしれません。業として**でない場合(例えば、経営者が自社の経営判断のためにこのシートを使用することなど)は使用OKです(特許法第68条)。

7.参考条文

*特許法第30条:発明の新規性の喪失の例外(新規性を喪失した日から6月以内に所定の手続きのもと特許出願を行えば、新規性喪失に至らなかったものとみなされる。)
**特許法第68条:特許権の効力(特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。)

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